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財界・金融界がおびえる「多重株主代表訴訟制度」ってなんだ?

 「もしもこの制度が導入されることになれば、子会社の役員といえども枕を高くして寝られなくなってしまう」

 メガバンクのコンプライアンス担当者がこう指摘するのは、法制審議会で議論されている「多重株主代表訴訟制度」である。この制度は一言でいえば、株主代表訴訟の対象を子会社の取締役にも広げようというもの。会社法改正の一環として学者の一部から問題提起されているのだが、これがすこぶる評判が悪い。とくに持ち株会社制度の下で、数多くの子会社群を持つコングロマリット型の大企業やメガバンクなどは強い調子で反対を訴えている。

 日本の企業経営では、1997年に独占禁止法が改正され、純粋持ち株会社が解禁されて以降、グループの中核会社が持ち株会社の子会社となるケースが数多く登場した。かつての都市銀行などが持ち株会社形式(ホールディング・カンパニー)で統合し、メガバンクとなったのはその象徴的な事例であろう。

 だが、企業統治に関する現行法では、株主代表訴訟を提起して役員などの責任を追及できるのは、親会社(持ち株会社)の株主に限られている、このため、実質的に事業を行う子会社が問題を起こしても、株主は親会社を通じて訴訟を起こす形になり、責任を十分追及できないとの問題点が指摘されていた。

 一方、諸外国では、判例によって親会社株主が子会社の役員などに対して株主代表訴訟を行うことが認められているケースがあり、日本においてもその是非が問われているという図式だ。

 しかし、この制度は日本企業の競争力をそぐことにつながりかねないことから、財界はこぞって反対している。昨年の日本監査役協会の全国大会でも、多重株主代表訴訟制度が議論の的になったが、「忙しい取締役が訴訟対応で忙殺されるなど、株主代表訴訟そのものが経済合理性のない制度である。それが子会社の取締役まで提訴することができるようになったら、大変なことになる」(弁護士)、「目的が曖昧で、企業の活性化にどういう影響があるのか懸念される」(日本監査役協会)など、反対意見が噴出した。

 また、経団連も法制審議会会社法制部会の場で次のように意見表明している。

 「会社法改正ではわが国の国際競争力の向上に向けた配慮をお願いしたい」

 「多重株主代表訴訟は、親子会社はそれぞれ法的に別個の法人格という前提を覆すものではないか。機動性のある子会社運営・グループ経営に支障をきたす」

 「主要な子会社の役員は多くの場合に親会社の役員を兼務しているので、多重株主代表訴訟がない場合でも、親会社株主は子会社の任務懈怠責任を問うことができる。一方、多重株主代表訴訟を認めた場合、実質的に使用人と同じレベルの者を株主代表訴訟の対象とすることになり、株主に過大な責任追及の方法を与えることになる」

 法制審議会では、焦点となる子会社の範囲などについて詰め、はやければ今年末にも中間試案をまとめる予定になっているが、「それでなくとも日本の企業はまじめなため、必要以上にコンプライアンスを厳格に運用して企業活力をそいでいる」(某企業トップ)との指摘は根強い。角を矯めて牛を殺すことにならないかと懸念される。

2011年08月31日 ZAKZAK

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