税理士は中小企業にとって重要な伴走者であるものの、その費用については、物の売買のように、提供される業務やサービスが実態として把握しやすいものではないため、負担を感じやすいものです。
その負担を軽減するにはどうしたらいいのでしょうか。今回は中小企業が税理士費用を抑えるための方法をご紹介いたします。
税理士費用の仕組み
税理士費用は、依頼をする税理士によって料金体系が異なりますが、一般的には税務業務の提供量が大きくなるほど、多額になる仕組みになっています。
中小企業が法人税を納めるためには、企業活動の会計記録をして利益の算出を行い、その利益から法人税額を算定する必要があります。これらの一連の手続きは、法人を営む以上、避けることはできません。
これらの一連の手続きについて、どの部分からを税理士に一任するかにより、税務業務の提供範囲が異なるため、税理士費用も異なります。
また、同じ税務業務の提供内容であっても、中小企業の取引規模が大きいほど、その業務に要する時間や専門的な知識が必要となるため、税理士費用が高額になる傾向にあります。
税理士費用を抑えるためには
税理士費用を抑えるためにできることを、顧問税理士がいない場合といる場合とでご紹介をしていきます。
①顧問税理士がいない場合
新たに顧問税理士と契約を締結する場合には、複数の税理士の料金体系を比較してから、契約を締結することで、税理士費用を抑えることができます。
税理士費用を抑えることを第一に税理士を選択する場合には、慎重な判断が必要です。提示された税理士費用の中に、提供を受けたい税務業務が含まれているかの確認のみならず、連絡や相談に有資格者が応じるのか、連絡手段は何なのか等、業務が遂行されるにあたり信頼関係が築けるかの確認も大切です。
税理士費用が相場より低い場合、相場より高い費用を提示する税理士よりも、税務業務の量が少ない、サービスの質が低い等、相場より何かしらの低い理由があることが殆どです。その理由が譲歩できるものであるかを確認してから契約を行わないと、信頼関係が築けずに顧問税理士の変更をする必要の発生が懸念されます。
顧問税理士の変更に制約は無いものの、新しい税理士を探し、引き継ぎを行うことは、中小企業の営業活動に影響を及ぼしかねないような、労力を必要とするものです。
中小企業が飛躍していきたいと考える場合、中小企業は営業活動に集中して、税務に関することは税理士に一任をする、つまり税理士費用を抑えることを第一に税理士を選択するのではなく、企業の成長を後押ししてくれるような業務提供量やサービスの質を第一に選択することが、長い企業活動の中では良いとれることが多いです。
しかしながら、資金繰りに苦心している中小企業は、税理士費用を抑えることを第一に税理士を選択せざる得ないこともあります。「安かろう悪かろう」という選択になることを念頭において、「悪かろう」が看過できる契約をするようにしましょう。
②顧問税理士がいる場合
既に顧問税理士がいる場合は、まずは税理士に相談をしましょう。信頼関係が築けていれば、業務提供量やサービスの質はそのまま、税理士費用の減額に応じてくれる可能性があります。
しかし、税理士も商売ですので、業務提供量やサービスの質はそのまま税理士費用の減額をすることが難しい場合が多々あります。多くの場合、税理士費用を抑えたい旨を相談すると、業務提供量を少なくする打診を受けることが予想されます。
税理士からの業務提供量が少なくなっても、企業活動の会計記録をして利益の算出を行い、その利益から法人税額を算定するという一連の手続きは変わらずに行わなくてはならないため、これらの手続きの中で税理士が関与する部分を減らす、つまり中小企業が自社で担う部分を増やすことが求められてきます。
具体的には、下記のようなことに取り組むことで、税理士費用を減額することに税理士が同意してくれる場合があります。
- 乱雑に税理士に渡していた領収書類を、日付順や支払手段毎等に整えてから渡す
- 紙で渡していた領収書類を、スキャンしてデータで渡す
- 原本やコピーで渡していた通帳やカードの明細を、インターネットバンキング等からCSVで出力して渡す
- 税理士に依頼をしていた毎月の試算表の作成を、数カ月おき等に頻度を減らす
- 税理士に求めていた記帳代行等の処理期限を延ばす
- 税理士に依頼をしていた記帳代行を、自社の従業員が行う
- 税理士に依頼をしていた給与計算を、自社の従業員が行う
- 税理士に依頼をしていた入退社手続きを、自社の従業員が行う
- 税理士に依頼をしていた経営分析を、自社の従業員が行う
- 税理士に求めていた質問等の回答期限を延ばす
- 税理士に問い合わせを行っていた一般的な税務の質問は、インターネットで調べることや、税務署に問い合わせをすることで、自社で回答を得て連絡回数を減らす
- 対面での税理士との打ち合わせを、オンラインにする
- 税理士の訪問頻度を減らす
このように、税務知識の介入の少ない箇所から、自社で担うことで税理士の負担が減り、税理士費用を減額することに税理士が同意してくれる場合があります。
自社で担う際には、その業務が税理士の助言無しに完遂することができるかを確認してから取り組みをしましょう。
自社で作業を行っても、税理士に依頼をして作業を行っても、結果は同じである必要があります。自社で担う労働力が無いにも関わらず、税理士費用を抑えるために税理士業務を減らして、税務会計まわりが立ち行かなくなることが散見されます。
例えば、税理士費用を抑えるために自社で記帳を行うことを社長が決定し、自社の経理担当者に記帳を指示しても、経理担当者に記帳のための知識が無く、申告期限直前になって利益や法人税が算出できない状況になっていることに社長が気付く、というような状況です。
このような状況になってしまうと、税理士等の専門家に再度記帳代行を依頼するしか解決方法が無くなってしまいます。申告期限直前であることから、通常よりも高額な税理士費用の支払いを求められ、結果として税理士費用を抑えることに失敗してしまいます。
このようなことが無いように、自社が担える範囲は、社内の状況をよく確認したうえで、税理士の関与とそれに伴う費用の減額について、相談するようにしましょう。
中小企業は営業活動に集中して、税務に関することは税理士に一任をすることが良いとされつつも、自社が税務や会計に関する知識をつけることは経営判断において有効ですので、労働力に余力がある場合には、自社で担うことも中小企業にとって悪いことではありません。
まとめ
これから顧問契約をしようとする中小企業は、「安かろう悪かろう」になりかねないことを念頭に置いた、税理士費用を抑える税理士選びを、既に顧問契約をしている中小企業は自社で担える業務を探すことで、税理士費用を抑えることができます。
税理士費用を抑えることを第一に考えるということは、専門知識の介入が少なくなることを看過することと同意であることが殆どです。
税理士費用をはじめとする費用を抑えることを意識した経営は非常に大切ですが、費用対効果を考えることも同時に重要なことです。
より良い選択ができるよう、是非参考にしてください。
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