司法書士が取り組む更生保護
○はじめに
日本司法書士会連合会は、2013年2月2日(土)、「更生保護をとりまく現状と課題」
と題したフォーラムを開催する。
「更生保護」は、罪を犯した人が更生するための社会的仕組みを指し、刑事政策の
一部として、主に法務省が統括し、さまざまな取り組みを行っている。
仮釈放や保護観察などを通じて、社会復帰を促し、再犯を防止する目的で、さまざま
な社会的運用が行われているものである。
○更生保護の現状と問題
犯罪白書によると、平成23年に刑務所を出所した人の数は28,558人で、そのうち、
仮釈放で出所した人の数は、14,620人、満期釈放が13,938人となっている。
「満期釈放」とは、有期刑の満了までを刑務所で過ごしたことを指し、
「仮釈放」とは、更生が期待できる受刑者を刑期の満了前に仮に釈放し、
残りの刑期を「保護観察」として、社会の中で生活して円滑な社会復帰を目指すと
いうものである。
仮釈放にあたっては、親族や就労先の代表者など、出所者の社会生活をサポートする
「身元引受人」が必要不可欠であるが、
最近では、罪を犯したということで親族や友人との縁が切れているなどして
身寄りがない人や、就労先が決まらない人が増えており、社会的問題となっている。
身元引受人を立てられない出所者は、更生保護法人が運営を行う「更生保護施設」
に入所することができるが、
更生保護施設の数は、平成22年のデータによると全国に104施設しかなく、全ての
施設を合わせた収容定員も2,327人で、受け皿としてはじゅうぶんでない状況と
なっている。
加えて、満期釈放で出所する人は、身元引受人や就労先が決まらなくても、期日に
なれば釈放されるため、社会に戻ったものの、すぐに途方に暮れてしまう人も
少なくない。
更生保護施設が受け入れを行うのは、仮釈放の出所者であり、満期釈放の出所者は、
基本的に入所することができないため、彼らの受け皿にはならない。
NPO法人などが運営する施設で、受け入れを行っているところもあるが、現在のところ、
その情報が出所者自身に充分に行き渡っているとは、言えない状況にある。
また、刑務所を出所した後に自立することができず、貧困から路上で生活をしたり、
万引きや窃盗などの犯罪を犯して再び刑務所に戻ってしまう出所者も後を絶たない。
最近では、高齢者や障がい者の出所者において、その傾向が顕著になってきている
と語る専門家もおり、社会的に見ても、深刻な問題となっている。
そういった人たちを社会的にサポートする体制も、福祉の専門家を中心に整い始めて
はいるものの、まだ始まったばかりで、円滑にその機能を果たしているとは言えない。
○司法書士が取り組む更生保護とは
こういった問題は、自ら社会的に充実した生活を送ることができず、経済的に困窮
している出所者が多いことから派生しているものである。
それゆえに、法律相談や生活保護受給に関するサポート、債務整理のサポート、
そして場合によっては成年後見制度の活用につなげるなど、
司法書士がその知識と能力、権利を活かして、取り組まなければならない課題は
数多く存在する。
最も重要なのは、出所者を「罪を犯した人」という偏見の目で見ることをやめ、
社会を構成する一員として、迅速な社会復帰をサポートするのだという意識を持つこと
である。
彼らの中には、社会でさんざん裏切られ続け、刑務所の中でも集団生活に
馴染めなかったりしたために、他人を信用することができないといった、心の問題を
抱えている人も少なくない。
深刻なケースでは、相談に訪れても、自分が今どういう状況にあるのかや、最終的に
どういったサポートをしてもらいたいのか、うまく説明できない人もいるのである。
生活に困窮している社会的弱者として、彼らの立場に立って、考えてみることが重要
なのである。
2013年01月31日
最適な税理士が見つかる!
T-SHIEN税理士マッチング
依頼したい税理士業務と希望金額を入力し、匿名で全国の税理士事務所から見積を集めることができるシステムです。送られてきた見積の中から、最適な税理士を選ぶことができます。