能登印刷、研究室サイトの作成支援　３年で20大学目標

　中堅印刷会社、能登印刷（金沢市）は、大学の研究室向けのサイト作成支援ビジネスを本格展開する。同社が開発したサイト作成システムを３年間で20校を目標に納入し、複数の大学にまたがる研究室のポータル（玄関）サイトの運営も手がけたい考え。個々の研究室の情報発信を増やすことで、イメージが向上し、学生募集などで有利になるため、幅広い大学の需要を期待している。



　同社が開発した研究室向けサイト作成システム「ラボラトリーズ」は、研究者や学生のプロフィル、研究実績、ブログといった情報を、サイト作成の知識がない研究者でも入力して更新できるもの。論文も一般的な「ＰＤＦ」ファイル形式で添付できる。すでに北陸大学（金沢市）の薬学部などと契約しており、未公開を含めて約320の研究室が導入している。



　多くの大学の公式サイトは学部レベルまでは広報部門の予算で整えられているものの、そこからリンクされる研究室サイトは予算も運営も研究者にまかされており、同じ大学であっても形式や内容はバラバラな場合が多い。ラボラトリーズはこれを統一して、新着情報を一覧できるようにすることで、外部への発信力を高められる。



　これまでは北陸を中心に営業してきたが、印刷事業の営業網を通じて関西や中部の大学にも導入を働きかけ、３年後をめどに20校と契約したい考えだ。大学ごとに新たに専用システムを構築するよりも初期費用と保守管理コストを削減できることをアピールする。100以上の研究室で利用する場合、１研究室当たり月額833円で運営できるという。



　外部発信する情報は同社が契約するデータセンターに保存しており、希望する大学を集めて研究室のポータルサイトを構築することが可能。ラボラトリーズには英語、中国語に自動翻訳する機能とスマートフォン（高機能携帯電話）向けサイトを同時作成する機能があり、受験生や留学生の目に触れる機会が増える。



　こうした研究者情報を発信するサイトとしては、独立行政法人の科学技術振興機構（埼玉県川口市）が運営する「研究開発総合支援ディレクトリ（ＲｅａＤ）」がある。もっとも、主に研究者同士の連携を図るための検索データベースであるため、一般への情報発信力は大きくない。



　能登印刷は1913年（大正２年）に創業した老舗印刷会社。11年６月期の売上高は約17億円、従業員は136人。印刷から出版、インターネットへと事業領域を広げてきた。

2011年10月13日 日本経済新聞