【税理士の本音】士業でも倒産する時代へ──事業継続を左右する“見えないリスク”と生き残る戦略
「士業」の倒産、2年連続最多 体調やコンプラ意識、大規模化で競争激化も背景
「士業」の倒産が目立ってきた。給付金の不正受給の指南や、顧客から預かった資金の流用など、近年はコンプライアンス違反が原因で倒産するケースも目立つ。また、代表者の体調不良や死去、後継者の不在による事業停止など、後継者問題も資格の有無もネックになり容易でない。難関資格でも、経営は決して平たんでない「士業」の動向を東京商工リサーチが追った。
企業倒産(負債1,000万円以上)のうち、法律・特許・司法書士・土地家屋調査士・行政書士・公認会計士・税理士・社会保険労務士などの事務所(企業)を抽出した。
調査開始の1990年度(4-3月)から2010年度までの20年間の年間件数は、10件を下回っていた。だが、個人事務所が中心だった「士業」も、2000年代に入ると法人化が可能となり、大所帯の事務所も増えて競争が激しくなった。
倒産は、2011年度に初めて11件と10件を超え、2019年度の15件まで緩やかに増勢をたどった。コロナ禍は資金繰り支援で大幅に減少したが、その反動も出た2024年度は18件と急増、2025年度も18件で調査開始から2年連続で最多件数だった。
倒産の原因では、2025年度の18件のうち、10件(構成比55.5%)が売上不振だった。次いで、「その他」の5件(27.7%)が続く。「その他」の5件の大半は代表者の死亡だった。「士業」は資格が最低条件だけに、高齢化でキーマンが死去や体調不良で事業が継続できなくなると、一気に倒産リスクが高まることを示している。
さらに、最近はコンプライアンス違反も目立つ。コンプラ違反が2024年度は4件、2025年度2件が倒産の引き金になった。
都内で税理士業務を展開していた法人は、コロナ支援の持続化給付金の不正受給を指南したとして、税理士法人の代表(当時)が逮捕され、事業継続が難しくなった。
その道のプロでも、経営とは別の手腕が必要だ。また、AIの進歩で「士業」の一部が取って代わられる可能性も出てきた。
だが、人の気持ちを汲み、ベストの回答を導き出すことはAIでは難しい。信頼の証である「士業」だが、代表の体調管理やコンプラ意識、そして経営内容を加味すると、競争が激しい中では、一定数の倒産は避けられないだろう。
出典:東京商工リサーチ
【税理士の本音】士業でも倒産する時代へ──事業継続を左右する“見えないリスク”と生き残る戦略
「税理士でも倒産するのか?」
東京商工リサーチの調査によると、2025年度の士業の倒産件数は18件となり、2年連続で過去最多を更新しました。
かつては安定職の代表格とされていた士業においても、いまや倒産は決して珍しいものではありません。
特に注目すべきは、その原因です。
売上不振:55.5%
代表者の死亡・体調不良
コンプライアンス違反
つまり、専門性の高さとは関係なく、経営・組織・リスク管理の弱さが倒産につながっているという現実があります。
税理士として現場に立つ立場から言えるのは、
「税理士であっても、経営を間違えれば倒産する」
という厳しい事実です。
本記事では、
なぜ税理士を含む士業で倒産が増えているのか
事業継続を脅かす本当のリスク
税理士として生き残るための戦略
を、実務目線で解説します。
1. 税理士でも倒産する3つの理由
① 売上不振──「安定業種」の幻想の崩壊
税理士業界は「顧問契約があるから安定」と言われてきました。
しかし現実は、
顧問料の値下げ圧力
クラウド会計・AIの普及
価格競争の激化
により、“安定”ではなく“低成長・高競争”の業界へと変化しています。
特に小規模事務所では、
新規顧客が取れない
既存顧客の解約
単価の低下
が重なり、気づいたときには資金繰りが悪化しているケースが少なくありません。
② 代表者依存──「人」に依存するビジネスの限界
士業の最大の弱点は、
「代表者=事業そのもの」
になりやすい点です。
今回の調査でも、
代表者の死亡
体調不良
が倒産原因として多く挙げられています。
税理士業務は資格が必須のため、代替が難しい。
つまり、
代表が動けなくなった瞬間に事業継続が止まる
という構造です。
③ コンプライアンス違反──信頼崩壊は一瞬
近年増えているのが、コンプライアンス違反による倒産です。
給付金不正受給の指南
顧客資金の流用
など、信頼を前提とする士業においては、
一度の違反で即アウトです。
税理士は「信用ビジネス」です。
だからこそ、
信頼を失うリスク=倒産リスク
と言えます。
2. 税理士業界に起きている構造変化
士業の倒産増加の背景には、構造的な変化があります。
■ 法人化・大規模化による競争激化
かつては個人事務所中心だった業界が、法人化により規模競争へ。
■ AI・クラウドによる業務の代替
記帳・申告業務は自動化が進み、「作業の価値」が低下。
■ 顧客ニーズの変化
単なる税務処理ではなく、
経営支援
資金繰り
事業戦略
まで求められる時代に。
つまり、
税理士も「専門職」から「経営サービス業」へ変化している
のです。
3. 事業継続を左右する“3つの経営力”
税理士として生き残るために必要なのは、次の3つです。
① 収益構造の再設計
顧問料依存からの脱却
高付加価値サービスの提供
スポット業務の強化
「作業」ではなく「価値」で収益を作ることが重要です。
② 組織化・分業化
代表者依存から脱却し、
スタッフ育成
業務の標準化
マニュアル化
を進めることで、事業継続性が高まります。
③ コンプライアンス体制の強化
業務フローの透明化
ダブルチェック体制
顧客資金の分別管理
信頼を守る仕組みづくりが不可欠です。
4. 「税理士=倒産しない」という時代は終わった
これまで多くの人が、
「税理士は安定している」
と考えてきました。
しかし現実は、
税理士でも倒産する時代
です。
これは裏を返せば、
「経営ができる税理士」と「できない税理士」で差がつく時代
とも言えます。
5. 税理士としての“事業継続戦略”
税理士自身が事業継続を実現するためには、
■ 顧客との関係性を深める
単なる作業提供ではなく、経営パートナーになる。
■ AIに代替されない価値を提供
人の感情・意思決定・経営判断に関与する。
■ 次世代への承継を考える
後継者問題は避けて通れません。
6. 税理士が語る「倒産しないための本質」
多くの倒産事例を見てきて感じるのは、
倒産は“突然”ではなく“徐々に起きる”
ということです。
売上が少しずつ減る
コストがじわじわ増える
判断が遅れる
そしてある日、
「もう無理だ」
となる。
だからこそ重要なのは、
早く気づき、早く動くこと
です。
まとめ|税理士も経営者である
税理士は専門職であると同時に、経営者でもあります。
今回の「士業 倒産増加」というニュースは、
決して他人事ではありません。
むしろ、
すべての中小企業に共通する警鐘
です。
これからの時代に求められるのは、
専門性だけでなく経営力
信頼を守る仕組み
事業継続を前提とした戦略
です。
税理士であっても例外ではありません。
最後に|事業継続できる税理士とは
これから選ばれる税理士とは、
倒産しない税理士
事業継続力がある税理士
経営を理解している税理士
です。
そしてそれは、
自らの事務所経営が健全である税理士にほかなりません。
厳しい時代だからこそ、
本当に価値のある税理士が選ばれる時代です。
2026年04月12日
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