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[FT]オリンパスは説明責任を果たせ(社説)

(2011年10月28日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)



 形式的な謝罪と辞任は、日本企業が問題を幕引きする常とう手段だ。オリンパスの菊川剛会長兼社長の辞任もまた陳腐な芝居の再現のようにみえる。



■疑問に答えていない前会長



 菊川氏は株主に「ご心配とご迷惑をかけた」と表面上は謝罪しながらも、やましい点は一切無いと言い張った。辞任の声明では、自らの経営責任や、一連の不可解な企業買収とファイナンシャルアドバイザー(FA)への支払いで10億ドルを超える資金が消えたことに関する疑問に一切答えなかった。



 英医療機器メーカー、ジャイラスの20億ドルでの買収で、FAに6億8700万ドルもの手数料を支払ったことや、国内3社を常識を超えた高額で買収したことなど、過去の買収案件が極めて不可解なことを踏まえれば菊川氏に退任以外の選択肢はなかった。だが、責任は菊川氏のみにとどまらないとみられ、オリンパスがこれでスキャンダルの幕を引くことはできない。



 目を向けるべきは取締役会だ。会社が株主の資金を無駄遣いするのを黙認したのは、結局は取締役たちにほかならない。彼らはこれまで、損失の真相解明よりも菊川氏を守ることに関心を示してきた。高山修一新社長は過去の一連の買収は「適切」に行われたと強調し、驚くべきことに、菊川氏は取締役にとどまっている。これは到底許されない。取締役会は団結するのではなく、一連の問題について説明するか総辞任しなくてはならない。



■日本が新たなスタートを切るチャンスに



 規制当局はオリンパスで何が起きたのかを徹底的に解明するため介入するべきだ。金融庁と東京証券取引所は、この有力上場企業の問題に対し極めて寛容な姿勢を示してきたが、ジャイラス買収に伴うFAへの手数料支払いと国内3社の買収について調査に乗り出す必要がある。少なくとも株主が資金の一部を取り戻すのには役立つ。



 これはオリンパスの株主だけの問題ではない。似たような説明責任の欠如は非常に多くの日本企業に見られる。それが日本の産業界の効率を損ねてきた。今回のオリンパスの件は日本が新たなスタートを切るチャンスだ。このチャンスを生かさなくてはならない。

2011年10月28日 日本経済新聞

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