税制改正大綱「自動車関係諸税」にみる業界団体の反発

○はじめに

先ごろ発表された平成25年度税制改正大綱について、

JAF（日本自動車連盟）は、2013年1月25日に声明を発表した。

同連盟らで構成される自動車税制改革フォーラムの一員として

発表したもので、声明では、自動車取得税について、

「消費税10％の時点で廃止すると決定されたことは、自動車ユーザー
の負担が軽減されることから、評価したい」としたものの、

自動車重量税廃止の先送り、ガソリン税・軽油引取税に上乗せ

された「当分の間の税率」（旧暫定税率）の廃止やガソリン税に

消費税が課せられている「タックス・オン・タックス」の解消など

についての抜本改革が先送りされたことについては、「残念である」

としている。

○自動車税制に対する活動

自動車税制改革フォーラムは、日本自動車連盟（JAF）、

日本自動車工業会、日本自動車販売協会連合会、

全日本トラック協会などの計21団体で構成されており、

これまで、自動車関係諸税の簡素化・負担軽減の実現に向けて、

長年にわたり要望活動を続けてきた。

昨年9月から10月にかけては、「自動車取得税・自動車重量税の

確実な廃止」や「燃料税の抜本的な見直し」などを求める

街頭活動を全都道府県で実施し、自動車に過重な税金が

課せられているとして国民に訴えるとともに、

政府に対しては、自動車ユーザーの負担軽減を実現するよう

要望を行ってきた。自動車ユーザーへの負担軽減は、

自動車の販売台数の増加に直接的に繋がるものであり、

同連盟らにとっても、最重要視せざるを得ない問題である

と言える。

○さまざまな「税」に対する業界団体の反発

自動車だけでなく、レジャーや嗜好品に分類されるサービス、

商品に対する課税については、それらに関係する業界団体では、

長年にわたって反発する姿勢をとっている。

キリンビール、アサヒビールなどのビールメーカーらで構成

される「ビール酒造組合」、「発泡酒の税制を考える会」では、

「ビール、発泡酒、新ジャンル飲料の酒税に対する要望書」

を毎年発表し、各酒税の減税や据え置きを求め、

取り組みを続けている。

このほか、社団法人国際観光旅館連盟では、宿泊税（ホテル税）

に反対し、「宿泊税川柳キャンペーン」、

「宿泊税184（いやよ）キャンペーン」など、一風変わった

反対活動を展開している。同連盟の主張は、

「旅行者にとって、消費税との二重課税になる」というものである。

また、ゴルフ場利用税に対しては、日本ゴルフサミット会議

17団体が「ゴルフ場利用税撤廃運動」を展開している。

同会議は活動について、「世界に例を見ないスポーツ課税と

消費税との理不尽な二重課税に対する反対運動」と位置づけて

いるという。同会議では、「娯楽施設利用税が適用されていた

当時から、ゴルフを贅沢なものと見なし、スポーツと認めない、

かつ理不尽(二重課税)である」と主張してきたが、消費税導入の際、

現在の「ゴルフ場利用税」を新設した時の当局の見解は、

次の三点であったという。

・ゴルフ場利用者は十分な担税力がある。

・ゴルフ場を開設する際の開発許可、関連道路整備など、

行政サービスと密接な関係がある。

・本税収の内、3割が都道府県の収入となり残り7割は

当該ゴルフ場が存在する市町村に交付されており、

今や市町村にとっては貴重な財源となっている。

同会議の関連団体が行ったゴルファーアンケート(2001年実施)では、

63％の人が「平均年収700万円未満」と回答しており、

「格安になっているゴルフ場利用料金に比べ、この税金は負担である」

と82％の人が答えたという。更に、「ゴルフ場利用税が撤廃されれば、

ゴルファーの底辺拡大、ゴルフの普及につながる」との回答は75％

だったという。

同会議では、現代のゴルフは大衆化しており、国民体育大会(国体)の

正式種目にも加えらたことから国民的スポーツであるとして、

当局見解である「ゴルフ場利用者には担税力がある」とは、

認められないとしている。なお、ゴルフ振興議員連盟の支援

などにより、平成14年12月の税制調査会において、「身障者」

「18歳未満」「70歳以上」の利用者を非課税とすることが決定され、

平成15年4月1日から施行されている。