起業外国人のビザ要件引き上げへ…現状は格安「資本金５００万円以上」、中国人ら目的外の大量流入抑制

　出入国在留管理庁は、日本で起業する外国人経営者向けの在留資格「経営・管理ビザ」の取得について、「５００万円以上」とする金額要件を引き上げる方向で調整に入った。諸外国に比べて「格安」とされる要件を厳格化し、制度の趣旨から外れる中国人らの大量流入を抑える狙いがある。

　同ビザは、「５００万円以上の資本金」か「２人以上の常勤職員」を用意し、日本国内に事業所を確保するなどの要件を満たせば、最長５年在留できる。年齢や学歴、語学力などは問わず、近年は日本への滞在自体を主な目的とする中国人による取得が急増している。家族の帯同が許されることも増加に拍車をかけている。

　同庁によると、２０２４年６月時点で、中国人による取得者は１５年の２倍超となる２万５５１人で、同ビザで在留する外国人全体の半数以上を占める。大阪府などではビザ取得のために民泊の運営法人を設立し、移住するケースが目立つ。

　国会でも「手軽に定住できるルートになっている」（有村治子自民党参院議員）として、治安やビジネス環境への影響を指摘する声が出た。中国の富裕層らが日本の教育や社会保障制度に魅力を感じて来日するケースもあるとみられる。

　同庁関係者によると、韓国では同様のビザ取得に必要な資本金は３億ウォン（約３０００万円）以上で、日本は格安だ。政府は、高度人材向けの在留資格としての役割は維持したい考えで、同庁は今年度中にも議論を開始し、法務省令の改正を目指している。

出典：読売新聞社

外国人経営者の「経営・管理ビザ」要件引き上げと、日本企業における税理士の探し方

近年、日本で事業を始める外国人経営者が増えています。その背景には「経営・管理ビザ」と呼ばれる在留資格の存在があります。これまで日本では「500万円以上の資本金」または「2人以上の常勤職員」を条件とすれば、このビザを取得でき、最長5年間在留できる仕組みでした。しかし出入国在留管理庁は、2024年以降、この金額要件を引き上げる方向で調整を進めています。韓国では3,000万円程度が必要とされる中、日本の基準は「格安」とされ、特に中国人経営者の取得が急増していました。

一見すると、外国人起業家にとってのチャンスを狭める動きのように思えますが、実際には日本のビジネス環境を健全に保つための調整といえます。そして、こうした制度改正の流れを読み解くうえで重要な役割を果たすのが「税理士」です。ここでは、経営・管理ビザの改正の影響を解説するとともに、起業家や企業経営者が失敗しない「税理士探し方」について税理士の立場から詳しくお伝えします。

経営・管理ビザ改正の背景と影響
急増する外国人経営者

読売新聞の報道によれば、2024年6月時点で中国人の経営・管理ビザ取得者は2万551人と、2015年の2倍を超え、全体の半数以上を占めています。大阪などの都市部では、ビザ取得目的で民泊運営法人を設立する事例も増加。これに対し国会でも「手軽に定住できるルートになっている」との懸念が示されています。

改正によるビジネス環境の変化

要件引き上げは、不正利用を防ぐためには有効ですが、一方で真剣に事業を展開したい外国人経営者にとっては資金調達や事業計画の透明性がより重要になります。特に、資本金調達や従業員雇用、社会保険加入といった制度的ハードルをクリアするためには、税務・会計の専門家の支援が欠かせません。

税理士が果たす役割
1. 資本金の適正管理

ビザ要件の基準が引き上げられた場合、資本金の準備だけでなく、その「正当性」が厳しく審査されます。例えば、資本金を一時的に借入で積み増した場合などは、形式的には条件を満たしていても、当局から問題視されるリスクがあります。税理士は、資金の流れを正しく整理し、金融機関や出入国在留管理庁に対して信頼性のある説明をサポートできます。

2. 雇用・労務管理のサポート

「2人以上の常勤職員」という要件を満たすには、雇用契約や社会保険の加入が不可欠です。税理士は給与計算や社会保険手続きの顧問社労士と連携しながら、適法かつ効率的な体制を整える助言を行います。

3. 事業計画書・資金繰り計画の作成

経営・管理ビザの審査においては、事業の実現性が問われます。税理士は数値に基づいた事業計画書の作成や資金繰り表の策定を行い、起業家が自信を持って申請できる環境を整えます。

税理士の探し方：失敗しないための5つのポイント

ここからは本題である「税理士探し方」について、税理士としての立場から具体的に解説します。特に外国人経営者や新規開業者が陥りがちな失敗例を避けるための視点を紹介します。

1. 業種に強い税理士を選ぶ

同じ税理士でも得意分野は異なります。たとえば、飲食業、IT、製造業、あるいは外国人経営者向けサポートに強い税理士などがあります。自身のビジネスモデルに合った税理士を探すことが第一歩です。

2. コミュニケーションのしやすさ

税務知識だけでなく、経営者の意図を正しく理解し、外国語対応や文化的な違いにも柔軟に対応できるかどうかが重要です。実際に面談して「自分の言葉を理解してくれるか」を確認することが失敗しない秘訣です。

3. 費用体系の明確さ

顧問料や決算料の体系が不透明だと、後々トラブルになりがちです。料金が安いか高いかだけでなく、「どの範囲までサポートしてくれるか」を明確にしておくことが必要です。

4. 実績と信頼性

経営・管理ビザや外国人向け起業支援の実績があるかどうかは大きな判断材料です。公式サイトや紹介サービスを通じて、成功事例を確認することをおすすめします。

5. 比較検討を怠らない

「最初に出会った税理士に即決する」のは避けた方がよいです。複数の税理士に相談し、それぞれの対応や人柄を比較することで、自分に最適なパートナーを選ぶことができます。

税理士紹介サービスの活用という選択肢

インターネット検索で「税理士探し方」と入力すると、多くの情報が出てきます。しかし情報が多すぎて、かえって混乱する経営者も少なくありません。そのようなときに役立つのが、税理士マッチングサービスです。

私たち税理士業界では、依頼者の業種やニーズに応じて最適な税理士を紹介するサービスが広がっています。これにより「自分で一から探す手間」を大幅に削減できるのです。特に新規開業者や外国人経営者にとっては、信頼できる紹介サービスを通じて税理士を選ぶ方が、スピーディーで安心できる方法といえるでしょう。

まとめ：制度改正の波を乗り越えるために

経営・管理ビザの要件引き上げは、外国人経営者にとって大きな転換点です。しかし、これを「障害」ととらえるのではなく、「信頼できるビジネスを築くための契機」と捉えることが大切です。そのためには、適切な税理士のサポートを受けることが不可欠です。

「税理士探し方」を間違えなければ、制度改正にも柔軟に対応でき、日本でのビジネス成功の可能性は大きく広がります。資本金の管理、従業員雇用、事業計画の策定、そして税務申告。これらを一人で抱えるのは困難ですが、税理士はそのすべてを伴走するパートナーです。

今後、外国人経営者が日本で確かな足場を築くためには、「正しい税理士の探し方」を知ることこそが、最大の成功戦略といえるでしょう。